※ ※ ※
「うわ、まじか!」
十六時五十八分、ライブまであと三十分少し。
舞台裏でイヤホンをつけてベースを練習していると、セラ先輩の不穏な声が耳に入った。
「どうしたの?」
「LINE、見て」
セラ先輩に促されてスマホを取り出したモニ先輩が、目を丸くした。
「人身事故!?」
えっ?
つられてあたしもスマホを取り出す。
ロック画面に現れた通知を見て、体が凍りついた。
【すみません、人身事故で電車が運転見合わせになりました。今のところ、運転再開がいつになるかはわからないそうです】
アプリのトークグループに投稿された浅野くんのメッセージ。
「うー、そんな」
漏れ出た声は震えていた。
こんなの、ひどいよ……。
せっかく五人で演奏できそうだったのに。
「タクシー乗れるほどのお金は持ってなさそうだしな……」
「どうしたの?」
「電車が止まっちゃってね、浅野くんがライブに間に合わないかも……って、へっ?」
あまりにも自然に、あたしの独り言に割り込んできたその声。
凛とした響きに誘われて、顔を上げる。
まっすぐ降ろされたセミロングヘアが、あたしの息を止めた。
「うわ、まじか!」
十六時五十八分、ライブまであと三十分少し。
舞台裏でイヤホンをつけてベースを練習していると、セラ先輩の不穏な声が耳に入った。
「どうしたの?」
「LINE、見て」
セラ先輩に促されてスマホを取り出したモニ先輩が、目を丸くした。
「人身事故!?」
えっ?
つられてあたしもスマホを取り出す。
ロック画面に現れた通知を見て、体が凍りついた。
【すみません、人身事故で電車が運転見合わせになりました。今のところ、運転再開がいつになるかはわからないそうです】
アプリのトークグループに投稿された浅野くんのメッセージ。
「うー、そんな」
漏れ出た声は震えていた。
こんなの、ひどいよ……。
せっかく五人で演奏できそうだったのに。
「タクシー乗れるほどのお金は持ってなさそうだしな……」
「どうしたの?」
「電車が止まっちゃってね、浅野くんがライブに間に合わないかも……って、へっ?」
あまりにも自然に、あたしの独り言に割り込んできたその声。
凛とした響きに誘われて、顔を上げる。
まっすぐ降ろされたセミロングヘアが、あたしの息を止めた。
