【十七時二十一分、駅着です】

 やったー!
 夕方、LINEグループに投稿された浅野くんのメッセージを見て、あたしたちは体育館裏で小さく歓声を上げた。

 軽音部の出番は十七時半から。体育館に着くのはかなりギリギリになるかもしれないけど、きっと間に合う。

「さっすがみかるん! やるー!」
「みかるちゃん、最高! 愛してるぜ!」
 モニ先輩には抱きしめられ、セラ先輩には投げキッスをされた。

 よかった……。
 もしあの場でなにも言えないまま帰ってきていたら、今頃、自分が試験会場に行ったことを死ぬほど後悔していたはず。
 ちゃんと自分で戦えて、しかも浅野くんと一緒に演奏できることになって、ほんとによかった!
 
「よし、もうすぐ本番! 五人揃って最高の演奏にしようね!」
 モニ先輩の呼びかけを受けて、あたしたちは「おー!」と掛け声を合わせた。

 浅野くんの帰りを信じていたあたしたちは、四人の分の荷物と一緒にちゃんとギター関連の機材も舞台裏に運んでいた。

 気のせいか、スタンドに立てかけられた紺色のギターも、蛍光灯に照らされていつもよりピカピカ輝いているように見えた。
 きっとこの子も、一週間ぶりに弾いてもらえてうれしいはずだ。

 ふう、いろいろあったけど、なんとかなりそう。
 
 ——なんとかなりそう、だった。