わあ、すごい……。
 モニ先輩の指先が音を生み出すたび、視界がキラキラ輝く。

 キーボードの優美な旋律が少し続いたあと、ギターとドラムが合流して、本格的に曲が始まった。

 こんな素敵な音楽を、中学生が作ったなんて。
 始まって数十秒の時点で、すっかり心を掴まれていた。
 
 前奏が終わり、セラ先輩の歌が始まった。
 はあ。なんて美しい歌声なんだろう。
 今日、どうして自分がこの人についてきてしまったのか、わかった気がした。
 鼓膜を伝って頭の中がとろけちゃうような声。聴いてる間、冷静になにかを考えることができなくなる。
 サビの裏声が耳に届くたび、体がきゅーって上に引っ張られて、そのまま天国に行っちゃいそうだった。

「それじゃ、今日は特別に、ソロパートいくよ!」

 二番のサビが終わったタイミングで、セラ先輩のウインクが、あたしに向かって輝いた。