この場所で始まる恋

 「あ、やっば。」

 下駄箱で靴を変えようとしたときに明日古文の指される順番が回ってくるこから教科書を持って帰ろうと思っていたことを思い出して鞄の中を漁ると思ってた通り置いて行っていて教室に戻らなくてはいけなくなる。まぁ帰る前に思い出せてよかったと下駄箱を閉じて元来た道を戻る。

(いる、、)

 戻っている最中、先ほどまでいた教室の中に視線を向けると真剣な顔で資料見ながら手を動かす香坂先生の姿が映る。想像では何人かの生徒とわちゃわちゃやっているのかと思っていたけど一人でやっている姿に声を掛けようとした言葉を飲み込み、なにも見なかったかのように自分の教室の足早に向かう。

「あった。」

 自分のロッカーから教科書を取って鞄に突っ込んでまた下駄箱に向かう。もちろんさっき通った道を通るから先生がいる教室の前をまた通らなくちゃいけなくて、、一度教室のある場所の手前で止まり気にしない気にしないと言い聞かせてまた足早に通り過ぎる。

 しかし通り過ぎたところで足が止まり、関係ないじゃん!!って心では分かっているのにどうしても心に引っかかるものがあって

「~~!!」

 もう一度教室に戻り、一度深呼吸してから教室の中に入り

「あの..」

と声を掛ける。すると資料を見ていた視線がこちらに向けられてさっきまでの真剣な表情から少し驚いた顔になっり、すぐにいつもの優しい表情になってから

「あれ?西原さん?どうかしました?」

 と言われて言葉が詰まるが断られたらそれはそれでいいや!と思い

「あの良ければ手伝いましょうか、それ。」

と先生の前に積まれた資料を指さす。一瞬何を言われ屋か理解できていなかった先生もすぐに自分の資料づくりことを指しているということに気づき

「あ、いや、お気持ちはうれしいですがこれは僕の仕事なので西原さんにご迷惑かけられないです。でもありがとうございます。気遣ってもらって。」

 と申し訳なさそうな顔をして言う先生。断られたんだし、そうですか。って帰ればいいのになぜか意地になってしまって、

「私時間まだあるのでできることあるならやりますよ?」

 そういう私に一瞬驚いた表情を見せたがすぐに表情を戻し

「それならお願い、してもいいですか?」

 と言われて頷くと先生の座る隣の席に座り、荷物を置いて作業に取り掛かる。作業を始めて1、2時間なんとかすべての資料をまとめるのが終わると先生は教室を出てどこかへ行ってしまった。伸びをしてから終わった資料を適当にパラパラと見ていると

「お待たせしました。」

 そう言って戻ってきた先生の両手には何か握られていてその二つを私の前に差し出して

「イチゴミルクとカフェオレどっちがいいですか?」

「え?」

「手伝ってもらったお礼です。」

「あ、いや、私が勝手にやっただけなので、」

「受け取て下さい、私のためだと思って。」

 ね?手に持ったものをもう一度私の前に出すのでそれなら、、とイチゴミルクの方を受け取りお礼を言う。その後は下駄箱まで送ってくれてお気をつけて。と手を振る先生に会釈して学校を出る。駅のホーム電車が来るまでの間、ホームのベンチに座ると先ほどもらったイチゴミルクのパックにストローを差してジュッと飲むと口の中にイチゴミルクの甘さが広がり自然と口角が上がってしまう。

「おいしっ。」

とつぶやく。