この場所で始まる恋

 日々は過ぎていったころ、朝のホームルームで担任から急に放課後に卒業アルバム委員の集まりがあると告げられてマジか、、となる。最悪のことに明日夏は予定がありどうしても参加できず一人での参加になった。全ての授業が終わり重い足取りで集合場所となっている教室に向かう。教室の中に入るとクラスごとに隣同士で座って始まるまでしゃべっている人たちがいてアウェイ感を感じてしまう。どこに座ろうか探しているとちょうど通路側の一番後ろの席が空いているを見つけてラッキーとその席に座って委員会が始めるまで待つ。

「あれ?」

 いきなり声がして前を向くと目の前には不思議そうな顔でこちらに近づいてきていた香坂先生がいてとりあえず会釈と挨拶をする。

「今日は一人ですか?」

「あ、もう一人の子は用事があって出られなくて、今日は一人で参加してます。」

「そういうことでしたか。」

 「はい。」と愛想のいい笑みを浮かべながら返し。これで終わりかなーと思っていると

「よければ隣座ってもいいですか?」

 という提案に、目を見開く。え?といいそうになるのを我慢してから他のところでもいいんじゃないかという意味も込めて

「ここでいいんですか?」

と問うが失敗。

「はい、他に座るところないので、ダメ、ですか?」

 断りにくい顔と聞き方に私は「どうぞ、、」と隣の席に置いていた鞄をどかして席を譲ることしかできなかった。それを見て先生は一気に笑顔になり席に座る。隣同士に座ったはいいものの特に話すこともなく黙って気まずいさを感じながら手元いじっていると急に話題を振られる。

「西原さんと七瀬さんはいつから仲良しなんですか?」

 あ、名前知ってるんだ。と驚きつつも質問に答える。

「高校に2年の時からです。席が前後で仲良くなってそのままずっとって感じです。」

「そうなんですね。」

「名前覚えてるのすごいですね(笑)」

「覚えてますよ?(笑)」

 よく先生に話しかけに行く明日夏の名前を憶えているのは分かるがほとんどしゃべったこともない私まで憶えているのはすごい、もしかして明日夏とよく一緒にいるからなんとなくついでに憶えているのかなと思っていると

「よく話しかけてくれる七瀬さんと一緒にいるので。」

(やっぱり。)

「それに4限に授業があるとき眠そうにしているので(笑)」

 いたずらに成功した子供のような笑みをこちらに向ける。その暴露に肩がビクッと動く。そして授業中に眠たくなったいたことがばれていないかと思っていたらバレていたことを知り、一気に顔に熱が集まるのと心臓が高速でなっているのが分かる。何とか弁解するが必死過ぎて早口になってしまう。

「いや、そんなことないです!!先生の気のせいじゃないですか??!」

「ほんとですか?」

「ほんとです!!」

「そうですか..それじゃあ次に4限に授業あるとき見てみますね?」

 明らかにからかっている先生に、この人ただ優しい人じゃなくてこういうとこあるんだ、、と知った。そして委員会が始まり、今回は、これからの流れとかの話であっさりと終わり、とっとと帰ろーと荷物を机に置いていると別の先生に呼ばれて前に言っていた先生が大量の資料を抱えて戻ってきたことにぎょっとする。当の本人は、目尻を下げて困った顔でヘラヘラ笑っていながら「頼まれちゃいました。」という先生に同情しながら

「すごい量..」

とつぶやくと

「ですよねー..」

と肩を落とす。

「大変そうですね。」

「まぁ、これくらいは。業務なので、、」

「..」

「とりあえず、これを早く終わらせないと。他にもやりたいことあるので。」

 パラパラと手元の資料を整理し始める香坂先生に先生って大変だなと思いつつも、『手伝いましょうか?』なんて言う勇気もないため少し申しわけなさも感じつつ帰ろうとすると、先生の席に代わる代わる生徒が来て「先生大変そー」「えーいじめられてんの?たな先ひどー」「かわいそー」と男女問わず話しかけに来る生徒に対してちゃんと会話を返して中心にいるのを横で見てそうだこの人ならいろんな人に頼れるじゃんと思い、迷いなく鞄を肩にかけてしれっと教室を出ようとするのを逃さないかのように先生から

「気を付けて帰ってくださいね。」

 と声を掛けられるので「はい。」と会釈して出ていく。