この場所で始まる恋

 壇上に並ぶ先生たちの中で一際オーラのある人が目に入り、このざわつきに納得する。特に女子の。後ろに立っている明日夏も私の肩を掴んで揺らしながら「めっちゃイケメン!!」と興奮している。やーめーてーと拒むと一人一人自己紹介と挨拶をが始まり次々とマイクが渡っていく。そしてついにざわつきの要因にマイクが渡り、受け取った本人が一歩前に出るとまたワッと体育館がざわつくので教頭先生が静める。静かになるとその人は話始めた。

「初めまして、香坂 湊斗と言います。よろしくお願いします。」

 一礼してさわやかな笑顔を向けるとまたも体育館に黄色い声が響き渡りそれを教頭先生がまた必死に静めている。式の終了後、教室へ明日夏と向かう最中、あらゆるところから『香坂先生』というワードが飛び交っていてそれは明日夏も同様で私に対してさっき見たばっかの香坂先生のことを興奮気味に語ってくる。

「イケメン先生来るとかマジさいこー!!」

「確かにかっこよかったねー。」

「よね?!てかなんでそんなテンションでいられるわけ??」

「えぇだってイケメンだなって思うだけでそれ以上は特に、、」

 という私に対してイケメンな先生が来たのに信じられないといった表情で見てくる明日夏。確かにイケメンだけど、イケメンだなと思うだけでそれ以下でもそれ以上でもないから湧くということもないというのは本心。そしてそんな私に諦めたのかやれやれというように

「ま、夏純は先生とかとしゃべらないもんね~」

「まぁ、しゃべることないし、、」

「それはそうだけど、用はなくてもしゃべるんだよ。」

「意味分からない、、」

「夏純って人見知りなとこちょっとあるよね~」

「私が人見知りなんじゃなくてあなたがコミュ力高すぎなだけ、、」

「え~ふつうじゃ~ん」

 用がなくても先生に話に行けるような人のどこが普通なんだと心の中でツッコむ。明日夏のコミュ力は本当にすごすぎてもはや羨ましくもある。先生と呼ばれる人たちと話す機会なんて係りの仕事聞くかなんか用があるときくらいだからほとんどないし、だからといって自分からしゃべりかけていって仲良くなろうなんて思考には至らないし印象に残らなくても別にいいと思っている私からしたら明日夏の言うことは理解できるものではない。

 始業式の様子を見て香坂先生とお気づきになりたい女子が多そうなことは考えることもなく分かる。しかも何かと絡みすぎると女子から反感を買いそうで怖いから特に用がないなら避けようとその日心に決めた。(ま、関わることもないだろうけど。)