この場所で始まる恋

 受験も大詰め悔いが残らないように必死で問題集に向かう。一息つくたびに机の上に飾られたお守りが目に入ると自然と気持ちが入る。そして当日、もちろんもらったお守りを鞄に着けていざ決戦日、難しい問題もあったがなんとかやり切れたのではないかとひと段落する。残すは結果を待つのみ。

 迫る結果発表の日にドキドキする日々を過ごし、ついに結果発表の日。ドキドキしてなかなか開けないでいるサイトに深呼吸をしてから気合を入れて開く。

「!」

 結果を見た瞬間、焦るように制服を着て鞄を持つと入って駅に向かう。早いはずの電車ももっと早くならないのかと無理な考えをしてそわそわし、扉が開いた瞬間に飛び出して改札をくぐり学校までダッシュする。いるかなんてわからないのに考えるより先にいち早く伝えたいあの人がいることを願って走る。


 靴を履き替えるとそのまま職員室へ向かいノックをして中に入り中を見渡すと見覚えのある後ろ姿を見つけると一度深呼吸してから中に入り、足早にその人の座る席に向かう。

「あの、」

 と声を掛けると振り返ったその人はあまりに必死に来た私の姿に一瞬目を見開きどうしたのかといった表情を向けて開こうとする口より先に

「すみません、ちょっといいですか?」

と言って図書室に向かう。ありがたいことに中には人なんておらず自然と二人きりの空間になる。とりあえず座りますか?と促す先生の言葉を無視するように鞄からスマホを取り出し画面を見せながら

「受かりました。」

「え?」

「受験、受かりました。」

 と笑顔で告げるとほんとに?と言いたげな顔にスマホの画面の表示されているであろう『合格』の文字をぐっと近づけて見せると画面を見た視線を私に向けられうんうんと頷くと徐々に先生の顔が笑顔になり

「おめでとう!!」

 と自分事のように喜んでくれるのに感謝の言葉を伝える。

「でもこういうのって普通担任の先生に最初に伝えるもんじゃないのかな?」

 と眉を下げながら言われたことに確かにとなるものの

「なんか一番最初に先生に伝えなきゃと思ったら走ってきてました(笑)」

 アハハ、、と笑っているとポンと大きな手が頭に置かれるので見上げると優しい顔をする先生が見えた。

「それはなんか嬉しいです(笑)本当におめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「実はずっと気になってたんです。」

 そういうと頭に置かれた手を下す。その顔はどこか悲しそうに見えた。

「西原さんの気に障るようなことをして嫌われてしまったのではか、と。」

 それを聞いて私の行動が先生に気遣わせてしまったことを知り、違うと代弁する前に先生は話を続ける。

「でもこうして一番にこうして一番に報告してもらえて正直嬉しいですし安心しました。」

「私、先生にもらったお守りずっと大事にしてました。」

 そう言って鞄についていたお守りを外し見せる。

「勉強の時も見える位置置いて、気合入れてたし当日も持って行って支えにしてました。これでおかげですね。」

 そう笑顔で言うとそれにつられるように口角を上げた。

「それは良かったです。頑張っていた西原さんに何かできないかと、思いついたのがお守りだったので受け取ってくれるが不安でしたがそう言ってもらえて安心しました。」

 笑っているけどどこか悲しそうな雰囲気を感じつつ気がつかないフリをする。

「担任の先生に行った方がいいんじゃないですか?」

 そう促す先生の言葉に従うように一礼してから図書室を出て担任の先生に合格した旨を伝えに行く。