会員名の刻印は自由にできたので、どうせ誰にも見せないし、むしろ本名で作ったら人に見られた時に恥ずかしいと思って、面白半分の仮名で作ってあった。
「そ、そうよ。拾ってくれてありがとう」
「ほら。もう落とすなよ」
落ち着いた声で言われ、私はそれを受け取ろうと手を出す。
「よく、がんばったな」
微かに聞こえた声に、私は顔をあげた。薄いガラスの向こうの目が、驚くほど優しい。
なんて……?
戸惑いながらパスケースを受け取った瞬間、男がふらりと体勢をくずしてしゃがみこんだ。
「え?! あの、大丈夫?!」
パスケースを受け取った私は、膝をついてしまった男の横に同じようにしゃがみこむ。
「ああ……気にするな」
覗き込めば、顔色もよくない。
「どこか具合でも悪いの?」
「そうじゃない。平気だから」
追い払うように私に手を振って立ち上がるけど、歩き始めた足元がふらふらと心もとない。
「そ、そうよ。拾ってくれてありがとう」
「ほら。もう落とすなよ」
落ち着いた声で言われ、私はそれを受け取ろうと手を出す。
「よく、がんばったな」
微かに聞こえた声に、私は顔をあげた。薄いガラスの向こうの目が、驚くほど優しい。
なんて……?
戸惑いながらパスケースを受け取った瞬間、男がふらりと体勢をくずしてしゃがみこんだ。
「え?! あの、大丈夫?!」
パスケースを受け取った私は、膝をついてしまった男の横に同じようにしゃがみこむ。
「ああ……気にするな」
覗き込めば、顔色もよくない。
「どこか具合でも悪いの?」
「そうじゃない。平気だから」
追い払うように私に手を振って立ち上がるけど、歩き始めた足元がふらふらと心もとない。



