「はあっ?!…もう一回言ってくれ、そして嘘だと言ってくれ…頼む……」

 両手で頭を押さえて机に伏せる。

「本当だ、いま王妃様に呼ばれて聞いてきた……私もここまでとは思わなかった」

 クリストファーがエドワールに言うも
「バカなっ!あいつっ!!」

 ガタンっと椅子から立ち上がり
「サロモンを呼べ! 今すぐだ」

 侍従が頭を下げて扉から出て行く。それから間も無く
「兄上、お呼びですか?」

「おまえ、自分が何をしでかしたか、分かっているのか?」
「何のことでしょう?」
「セレスティーヌの事だ!」

 バンっと執務室の机を叩く!

「あっ!」

 ギロッとエドワールに睨まれる。


「私は真実の愛を…」
「婚約を解消するくらいに好きな相手なんだな?」
「えっ?セレスティーヌはゆっくり考えていいと言ってましたが…」
「バカか、おまえっ!もうセレスティーヌは母上に挨拶をして出て行ったよ!」
「えっ?!それは、どういう」
「お前がっ、見限られたに決まっているだろうがっ!」

 サロモンに指を指すエドワール。

「セレスティーヌは私とアニエスの事を応援すると言ってましたが……」

 頭を抑えるエドワール

「おまえにとってセレスティーヌはそんな存在だったのか! お前の好いている相手とセレスティーヌをよくみる事だ! それでもその相手が良いのなら好きにしろっ、お前のことはもう知らん! 王家から出て子爵家に婿にでも入れ!」
「そんな、兄上ぇ…」