「今度こそ本当の愛だと思ったんだけどなぁ」

邸のサロンでお茶を飲んでいるとサロモンが現れた

「ねぇ、人の邸に勝手に入り込むのはやめてくださらない?世間体というものがございますでしょう?」
セレスティーヌがまるで虫ケラでも見るような顔をする。

「茶を飲んで話するくらい良いだろうが!」

サロモンが正面に座りお茶を飲む。口調は悪いが、優雅な仕草だった。エトワールに言われた通りマナーの授業をやり直すことになり、教師にこてんぱんに扱かれている様だ。
口が悪いのはセレスティーヌの前のみ。

「何回言わせるおつもり? 本当の愛だなんて軽々しく言わないでくださいな。また殿下の()()()真実の愛の犠牲者を増やすおつもり?」
「おまえが愛・愛うるさいからだろ!おまえが俺のところに戻ってこないから、こんな羽目になってるんだよ!今なら戻ってきても許してやる」

「はぁっ、もう何なのよ!帰ってよ!もうすぐラルフ様が来るのっ!」

「おまえ服装の趣味()変わったな」
チラッとセレスティーヌを見る

「だって…ラルフ様が褒めてくれるんだもの」
頬をピンクに染めるセレスティーヌ

「…おまえ、俺といる時はそんな顔してなかったよな」
「褒められた記憶がございません!」
「ドレスを着た時は褒めていた!」
「いつも同じ言葉だったじゃないの!興味がなさそうに()()()()()()…以上!」

「美しいものに美しいと言って何が悪い!」
「だ・か・ら、お相手の方に呆れられるのよ!もっとあるでしょう!言葉が!何のために人に生まれて来たの?」
「……その時に言ってくれ、」
「注意なんてしても聞かなかったでしょ!」
「はぁ、俺の好きだったセレスティーヌはもういない…」
「そうですね、死んだと思ってくださって結構ですのよ」
「おまえ……」