馬車を降り、夜会の会場へと到着する
キラキラと眩しい王宮への入り口で立ち止まってしまう。

「どうした? セレス」

 兄のクリストファーが心配そうな目つきでこちらを見てくる。

「両陛下やエドワール王太子殿下に会うのが心が苦しいのです……わたくしが至らないばかりに」

「バカだなセレス、堂々としていれば良いんだよ。美しい妹を自慢するのが私の楽しみなのに……ファーストダンスをセレスと踊るのが楽しみなんだよ?私の楽しみを奪うつもりなのか?」

 優しく微笑みかけるクリストファーに感謝を述べ少しだけ気持ちが軽くなる

「お兄様ありがとうございます」

「行こうか? 嫌になったらすぐに声を掛けて、無理することはないんだ」

「はい」

ほっとした……嫌なら帰っていい。その一言がセレスティーヌの心を楽にした