「嘘じゃないっ。春はずっと私の憧れで、ライバルだった。だから、春がモデルに

なった時、悔しかった。嬉しかったけど、悔しかったのっ!」

私の目にも、だんだんと涙が溜まっていく。

「雨……」

「だから追いつこうと、ずっと、ずっと追いかけ続けた。追い続けた結果、私は

モデルになった」

季節外れの冷たい風が、涙で濡れた私の頬をなぞって、

ひんやりと冷える。

「いつも、春の行動にめんどくさそうにしてごめなさい。春の行動につられると

もう私は私じゃいられない気がして、逃げてた」

私が一歩前に踏み出すと、春も踏み出してくれる。

「……今まで避けててごめんなさい。雨に追いつかれたくなくて、

無理やり遠ざかろうとして、逃げた」

もうすっかり距離が近くなった私たちは、手のひらを合わせておでこを引っ付けた。

「「ごめんなさい……大好き……」」

私たちが、本当に“仲良し“になった瞬間だった。