「はぁ、はぁっ……春っ……」

「……雨?」

私に気がついた春は、気まずそうに目を逸らしたけど、逃げてしまうことはなかった。

家の扉を開けようとしていた春を見つけて走ってきたけど、何を話そうか

決めていなくて、シーンとした空気が漂う。

「わ、私っ———」

「ごめんっ!」

……え?

やっと意を決して話しはじめようとしたけど、春に先を越されてしまって

言葉が止まる。

そんな私を少しだけ見つめて、苦笑した後、春は話し始めた。

「私、小さい頃から雨が羨ましかった。私より先に逆上がりができるようになって、

私より先に友達も作った。私、お姉ちゃんなのに、全部、雨にっ、妹に、

劣っているような気がしてっ……」

「違うっ!」

「違くないっ!」