愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

「私はお似合いだと思うけどなー、ふたり」

「え? なんですか急に」

 すると明子さんはにっこりと微笑んだ。

「凛もあんなに懐いているし、萌ちゃんが和泉君と結婚したら喜ぶんじゃないかなーって言ってるの」

「結婚って……私と和泉君がですか?」

 思いもよらない話に目を見開き、自分自身を指差した。

「どうしてそんなに驚くの? みんな口には出さないだけで、萌ちゃんと和泉君お似合いだし、結婚すればいいのにって」

 みんなってどのみんな? まさか商店街のみんなってこと?

 混乱する私の肩を明子さんは優しく撫でた。

「もちろん一番大切なのはふたりの気持ちだけど、萌ちゃんも和泉君も商店街のみんなにとって子供みたいな存在なのよ。可愛いふたりが結婚してずっとここにいてほしいって思っちゃってるの。もちろんあの人もね」

 そう言うと明子さんはふたりが上がっていった階段に目を向けた。

「こんなことを言いたくないけど、いつかは凛に父親がいないことを聞かれることがくると思う。凛のことだから納得はしてくれても、きっと寂しいと思うはずよ」

「それは……」

 明子さんの言う通りで、私に反論の余地などなかった。

 今は片親の世帯も多く、保育園で徹底して指導してくれている。でもいつかは凛に間違いなく聞かれるだろう。「凛のパパは誰?」「どんな人?」って。

 その時、私は凛にうまく説明することができるだろうか。そして父親がいないという凛の心を私ひとりで埋めることができる?