なにより明子さんたちに恩返しをしたいし、私自身がこの場所で生きていきたいって思ってしまったんだ。

 その気持ちを正直に打ち明けると、両親は私の気持ちを尊重してくれた。両親の反対を押し切って家を飛び出し、案の定振られてしまったというのに、両親は「これからは、頼ってほしい」とまで言ってくれたのだ。両親の優しさに私は大泣きしてしまった。

 それからというもの、今では三ヶ月に一度は北海道にやって来て、孫の凛をとことん甘やかしている。

 凛を可愛がってくれて嬉しく思う。父親がいない分、凛を大切にしてくれる存在がとても大きい。

 そんなことを考えながら凛のお弁当の盛り付けに入る。

 二歳から凛を保育園に預けて、明子さんたちのお店の手伝いをしながら翻訳の仕事をしている。

 最初は不安だった翻訳の仕事も実績を重ねるごとに仕事をもらえるようになり、今ではありがたいことにスケジュール的に無理で断ることもあるほど。

 私にとって今、一番大切なのは仕事に没頭することじゃない。凛とできるだけ多くの時間を過ごすことだから。

「ん、こんな感じかな」

 完成したお弁当は、凛が最近大喜びするキャラクターのお弁当だ。今日は凛が大好きなテレビのキャラクターをモチーフにしてみた。