「よかったー。そうだ! 明日ねー、保育園のみんなに凛のパパはイケメンだって自慢しなくちゃ」

 ウキウキしながら言う凛に、私と遼生さんは声を上げて笑ってしまった。

 しばし笑いあった後、遼生さんは真剣な面持ちで口を開いた。

「萌と結婚するにあたって、俺は昔のように逃げて萌たちと幸せになりたいわけじゃない。今度こそ周りに祝福されて結婚しよう。そうでなければ萌と凛ちゃんを心から幸せにできないと思っている」

 きっと昔のように私たちが一緒になることは難しいだろう。両親は賛成してくれたとしても、彼の両親は違うはず。

「そのためには萌に嫌な思いをさせてしまうかもしれない。……それでも俺と一緒に乗り越えてくれるか?」

 なぜ遼生さんは不安げに聞いてくるのだろうか。私が嫌だと言うとでも思っているの?

「当たり前じゃないですか。それに私も同じ気持ちです。凛のためにも遼生さんのご両親に認めてもらって結婚したいです」

 両親と話をして心からそう願った。凛にもパパだけじゃなく、祖父母がもうひとりずついることも教えてあげたい。

「ありがとう。ふたりで頑張ろう」

「はい!」

「えぇー、凛もいるのに! 凛も頑張るよ?」

 横から話に入ってきた凛に、遼生さんは目を瞬かせた後、顔をクシャッとさせて笑った。

「あぁ、そうだな。凛も入れて三人で頑張ろう」

「そうだね、凛。頑張ろうね」

「うん! 凛、頑張る!!」

 きっとなにを頑張るのかわからないんだろうけれど、それでも私と遼生さんと一緒に乗り越えようとしてくれているのが伝わってくる。

 うん、私たち三人なら大丈夫。どんなことが起こっても乗り越えられる。

 凛と遼生さんの笑顔を見てそう思った。