「萌」
「……えっ」
待って、私の聞き間違い? だって遼生さんはいつも私のことを「萌ちゃん」と呼んでいた。「萌」と彼に呼ばれていたのは、まだ私たちが付き合っていた時。それじゃ、もしかして……。
遼生さんは凛を抱えたまま、ゆっくり緊張が増す私との距離を縮めていく。そして私の目の前で足を止め、苦しげに顔を歪めた。
「ごめんな。あの日、待ち合わせ場所に行くことができなくて。ひとりで待たせてごめん」
「遼生さん、記憶が……」
「あぁ、戻ったよ。全部思い出した。萌と出会った日のことも一緒に過ごした日々も、駆け落ちを約束した日に、花束と結婚指輪をサプライズで準備してプロポーズしようと計画していたことも、全部思い出した」
私の声を遮り放たれた言葉に、一瞬息が詰まる。
本当に遼生さんは記憶を取り戻したの? すぐには信じることができず、なかなか言葉が出てこない。
それを察知したのか、遼生さんは申し訳なさそうに続けた。
「そう言われたって、再会してからもずっと萌のことを忘れていたのだから説得力がないよな。本当にごめん」
そう言って遼生さんは困惑する凛を見つめた。
「……えっ」
待って、私の聞き間違い? だって遼生さんはいつも私のことを「萌ちゃん」と呼んでいた。「萌」と彼に呼ばれていたのは、まだ私たちが付き合っていた時。それじゃ、もしかして……。
遼生さんは凛を抱えたまま、ゆっくり緊張が増す私との距離を縮めていく。そして私の目の前で足を止め、苦しげに顔を歪めた。
「ごめんな。あの日、待ち合わせ場所に行くことができなくて。ひとりで待たせてごめん」
「遼生さん、記憶が……」
「あぁ、戻ったよ。全部思い出した。萌と出会った日のことも一緒に過ごした日々も、駆け落ちを約束した日に、花束と結婚指輪をサプライズで準備してプロポーズしようと計画していたことも、全部思い出した」
私の声を遮り放たれた言葉に、一瞬息が詰まる。
本当に遼生さんは記憶を取り戻したの? すぐには信じることができず、なかなか言葉が出てこない。
それを察知したのか、遼生さんは申し訳なさそうに続けた。
「そう言われたって、再会してからもずっと萌のことを忘れていたのだから説得力がないよな。本当にごめん」
そう言って遼生さんは困惑する凛を見つめた。



