愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

 顔を上げて彼女を見れば、目を細めた。

「さようならじゃなくて、またね」

「……あぁ、また会おう」

 どちらからともなく手を出し、握手を交わした。

 珠緒が会いに来る頃には、俺も幸せでいなければいけないな。

 彼女が帰って少し経ってから支払いを済ませ、俺も店を後にした。


 ワインを飲んで少し火照った身体を冷ますため、大通りまで徒歩で向かった。その道中、家族連れとすれ違う。

 子供は凛ちゃんと同い年くらいだろうか。両親の間に挟まれ、嬉しそうになにか一生懸命話していた。

 街中を歩けば幸せそうな家族ばかりに目がいき、そして自分たちと重ねて見てしまう。

 まだ両親の説得という大きな問題が残っているというのに、今すぐにでも北海道へ向かい、ふたりに会いたくてたまらなくなる。

 この指輪を受け取ったから余計かもしれない。

「ママー! 早く早くー!」

「もう、待ちなさいってば」

 駆け足で俺の横を通り過ぎていく女の子の後を母親が追いかける。その瞬間、頭の中にある記憶が一気に流れてきた。

「そうだ、俺が助けたあの子はどうなったんだ?」

 足を止めて必死に記憶を呼び起こす。