愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

「……いや、ないけど」

 そう答えると珠緒は俺に差し出した。

「じゃあ今すぐ思い出して。……四年前の遼生さんには必要なものだったんだから」

「四年前?」

 受け取った箱の中には、ペアリングが入っていた。

「これ……」

 手に取って指輪の内側を見ると、そこには俺と萌の名前が彫られていた。それを見た瞬間、激しい頭痛に襲われる。

「うっ……!」

「え? 嘘、遼生さん? 大丈夫!?」

 心配する珠緒に「悪い、大丈夫だ」と伝え、再び指輪を見つめた。

「ありがとう、珠緒。これを持っていてくれて。だけどなぜ珠緒が?」

 これは駆け落ちの日に、待ち合わせ場所へ向かう前に取りに行こうと思っていた結婚指輪だった。

 萌には内緒で準備をし、サプライズで渡すつもりだった物。なぜこれも忘れていたのだろうか。

 自分自身を恨めしく思っていると、珠緒が説明してくれた。

「遼生さんがオーダーした宝石店のオーナーとは懇意にしていて、遼生さんが事故に遭ったと聞いて私に連絡をしてきたの」

「そうだったのか」

 棄てることもできただろうに、わざわざ持っていてくれたんだな。

「本当にありがとう」