「萌ちゃんがそう言うなら止めないけど……。なにかあったらすぐに連絡をして」
「はい、ありがとうございます」
帰る前にも「本当に帰らないの?」と聞かれたけれど、私の意思が固いことを理解してふたりは凛を抱いて帰っていった。
病室のベッドの上では、症状が落ち着いた遼生さんが眠っている。私は静かに近づき、ベッドの横の椅子に腰を下ろした。
本社に電話をしてそろそろ三時間が経つ。折り返しの連絡があり、親族がこちらに向かっているから私は帰ってもいい。お礼には後日改めて窺うとあった。
きっと彼のご両親は私を見たら驚くだろう。罵声を浴びせられる可能性もある。
そうわかっていても、彼のそばを離れたくない。それに遼生さんとずっと一緒にいたいなら、彼のご両親と対面することは避けて通れない道。
凛がいる今は、四年前のように逃げることはしたくない。
静かに眠る遼生さんに付き添う中、病室の時計の秒針の音だけが響く。そしてさらに一時間が過ぎた頃、廊下に大きな足音が響いた。
「はい、ありがとうございます」
帰る前にも「本当に帰らないの?」と聞かれたけれど、私の意思が固いことを理解してふたりは凛を抱いて帰っていった。
病室のベッドの上では、症状が落ち着いた遼生さんが眠っている。私は静かに近づき、ベッドの横の椅子に腰を下ろした。
本社に電話をしてそろそろ三時間が経つ。折り返しの連絡があり、親族がこちらに向かっているから私は帰ってもいい。お礼には後日改めて窺うとあった。
きっと彼のご両親は私を見たら驚くだろう。罵声を浴びせられる可能性もある。
そうわかっていても、彼のそばを離れたくない。それに遼生さんとずっと一緒にいたいなら、彼のご両親と対面することは避けて通れない道。
凛がいる今は、四年前のように逃げることはしたくない。
静かに眠る遼生さんに付き添う中、病室の時計の秒針の音だけが響く。そしてさらに一時間が過ぎた頃、廊下に大きな足音が響いた。



