愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

 がっくり落ち込む凛の頭を撫でながら、遼生さんは優しい声色で「また今度、三人で見に来よう」と言った。

「本当? 約束だよ」

「あぁ、約束」

 そして私を見た遼生さんは「ごめん、萌ちゃん。さっきはなにを言おうとしたの?」と聞いてきた。

「あ、えっと……いいえ、そろそろ出ましょうかと言おうとしたんです」

 凛がいる前では言える話ではない。適当に誤魔化して席を立った。

 気づけば会場には私たちしか残っていなかった。

「本当だ、早く出ようか」
 慌てて遼生さんも立ち上がり、当たり前のように凛の手を握った。

 どうしよう、いつ言えばいいんだろう。でも、凛の前ではできない話だ。帰り際に東京に戻る前に一度時間を作ってもらって、ふたりで会う?

 きっと明子さんと文博さんに事情を説明すれば、快く凛を見てくれるはず。うん、それが一番いいよね。

 凛とともにトイレを済ませて外に出る。遼生さんと合流して会場の外に出た。

 終演となってもまだ外には多くの人がいた。子供連れも多く、中には子供同士で駆け回っている子たちもいた。

 歩道はあるものの、道路には多くの車が行き交っている。夢中になって気づかずにあの子たちが道路に出ないか心配になる。

 ヒヤヒヤしながら歩道に出て、道路の反対側にある駐車場へ向かうため、横断歩道で足を止めた。