愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

 突然の話に驚いた声を上げてしまうと、遼生さんは眉尻を下げた。

「プロジェクトも落ち着いたし、抱えている仕事が他にもあるんだ。そろそろ戻らないといけない」

「そう、なんですね……」

 いや、最初から彼が東京に戻ることはわかっていたことだ。それなのになぜこんなにも胸が痛み、寂しくてたまらないのだろう。

「一度戻ったら一ヵ月は戻ってこられないな。……でも、仕事が落ち着いたら必ず萌ちゃんと凛ちゃんには会いに来るから。だから俺のことを忘れないでくれよ」

「……っ」

 それは私の台詞だ。一ヶ月間の間に記憶を取り戻して、二度と会いに来なくならない? 再び私のことだけを忘れたりしないよね?

 言葉が喉元まで出かかったが、ぐっと飲み込んだ。その前に話さなくてはいけないことがあるから。

 ちょうど凛も寝ている。事実を打ち明けるなら今しかない。

「あのっ……」

「んー……あれ? 凛、寝ちゃってた?」

 タイミングよく凛が目を覚まし、私の声は遮られた。

「おはよう、凛ちゃん。残念だけどもう終わっちゃった」

「えぇー。凛、全然覚えていない……」