愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

「実は主催者とは知り合いでさ。関係者席を譲ってもらったんだ」

「そう、だったんですね」

 こういうところで改めて彼が碓氷不動産の後継者で、私とは住む世界が違う人だと突きつけられる。

「すみません、ありがとうございます。……こんな良席で見たことがなかったので嬉しいです」

「それならよかった」

 それなりの金額がしたから、前列など取ったことがなかった。それに東京とは違って会場も小さいからステージとの距離が近く、本当に間近で見ることができそうだ。

「凛、始まったら約束通りおしゃべりはしないで、静かに見ないとだめだからね?」

「うん、大丈夫! 凛は約束を守る子だから」

 自分で言っちゃうところがまた可愛いと思ったのは私だけではないようで、凛の話を聞いた遼生さんもクスリと笑った。

「もしトイレに行きたくなったらちゃんと言ってね」

「うん、りょーせー君にこっそり言うね」

 そう言ってふたりが指きりをしたところで、開演を知らせるベルが響く。少しずつ会場内は薄暗くなっていき、ステージの幕が上がった。