愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

「うん、俺も凛ちゃんの手を離さないよ」

「絶対だよ? 凛、迷子になっちゃうからね」

「わかったよ」

 ふたりのやりとりに、前後に並ぶ人は微笑ましい様子で眺め、「可愛い親子」「あの子、パパのことが大好きなんだね」と言っているのが耳に届いた。

 本当に傍から見たら、誰もがふたりは親子だと思うだろう。実際はそうだけれど、ふたりにその自覚はない。

 遼生さんと凛が事実を知ったら、どんな反応をするのだろうか。きっと凛は大喜びすると思うけれど、遼生さんは……?

 覚悟を決めてきたはずなのに、いざその日を迎えるとやっぱり少し決心が揺らぐ。仲睦まじいふたりの様子を見ていると余計に怖くなるよ。

 いよいよ開場の時刻となり、少しずつ列が動き出した。

「凛ちゃん、行こう」

「うん!」

 仲良く手を繋ぐふたりに続いて会場に入り、指定の座席に着いた。そこは前列の真ん中寄りで、つい一週間前にチケットを購入したとは思えないほどの席だった。

「本当にここで合っているんですか?」

 凛を挟んで座る形で席についてから思わず遼生さんに聞いてしまった。そんな私に彼は小声で答えた。