何度見ても感動的で、この日は私も遼生さんとともに号泣してしまったほど。
「すごくよかったですね」
「あぁ、そうだな」
終演後、ホールから出る途中で話を振ったものの、彼からは歯切れの悪い答えが返ってきた。
さっきまで一緒に泣いていたのが嘘のよう。もしかして今日は、忙しい中無理して来てくれたのかな。
疲れている? それともまだ仕事が残っているとか?
会話は途切れ、会場から出る。まだ帰るには早い時間だけれど、今日はこのまま解散かもしれない。
すると遼生さんは足を止めて、急に私の手を握った。
「遼生さん?」
初めて触れた大きな手のぬくもりに、心臓は忙しなく動き始める。
どうしたらいいのかわからず彼を見上げると、いつになく真剣な表情で私を見つめていた。
「一年前の今日、ここで萌ちゃんと出会えたことは人生の中で起こるたった一度の奇跡だと思うんだ」
ロマンチックな言葉を紡ぎながら彼は続けた。
「初めは見ず知らずの俺にハンカチを貸してくれた萌ちゃんが気になるだけだった。でも会って話をするたびに笑顔が可愛いところ、優しくて思いやりがあるところ、なにより一緒にいると楽しくていつも笑っていられる。そんな萌ちゃんを好きにならないほうが難しい」
「――え」
遼生さん、今、私のことを好きにならないほうが難しいって言った?
「すごくよかったですね」
「あぁ、そうだな」
終演後、ホールから出る途中で話を振ったものの、彼からは歯切れの悪い答えが返ってきた。
さっきまで一緒に泣いていたのが嘘のよう。もしかして今日は、忙しい中無理して来てくれたのかな。
疲れている? それともまだ仕事が残っているとか?
会話は途切れ、会場から出る。まだ帰るには早い時間だけれど、今日はこのまま解散かもしれない。
すると遼生さんは足を止めて、急に私の手を握った。
「遼生さん?」
初めて触れた大きな手のぬくもりに、心臓は忙しなく動き始める。
どうしたらいいのかわからず彼を見上げると、いつになく真剣な表情で私を見つめていた。
「一年前の今日、ここで萌ちゃんと出会えたことは人生の中で起こるたった一度の奇跡だと思うんだ」
ロマンチックな言葉を紡ぎながら彼は続けた。
「初めは見ず知らずの俺にハンカチを貸してくれた萌ちゃんが気になるだけだった。でも会って話をするたびに笑顔が可愛いところ、優しくて思いやりがあるところ、なにより一緒にいると楽しくていつも笑っていられる。そんな萌ちゃんを好きにならないほうが難しい」
「――え」
遼生さん、今、私のことを好きにならないほうが難しいって言った?



