「んもう…っ!蒼永…!!」

「…さっきの続きしよ?」

「か、片付けが先でしょ…!?」


真っ赤にしながら睨んでるけど、目が潤んでてかわいい。
むしろ更に煽ってる。


「後でやるからもうちょっと」

「ん……」


ごめんね、咲玖。

頭ではわかってても、止められない。
情けない嫉妬と独占欲で溺れそうになる。

でも、咲玖ももっと自覚して。
咲玖はかわいいんだから……無邪気で素直で、他人を色眼鏡で見たりしない。

その優しさに触れたらどうなるか、もっと自覚してよ――。

それに咲玖が傷つくことにもなるんだから。



「……蒼永、このまま実家に泊まる?」

「ん?うん」

「私も泊まってもいい…?」


この無自覚でかわいくて煽り上手な許嫁には困ったものだな……。


「…一緒に寝る?」

「えっ!?」

「冗談だよ」


そんなことしたら理性が吹っ飛ぶくらいじゃ済まないからね。


「咲玖」

「へっ?」

「…ううん、何でもない。
片付けしたら買い物いこっか」

「うんっ!」


咲玖にはいつも笑顔でいて欲しい。

だけど、その気持ちとは裏腹に咲玖をもっと独占して、めちゃくちゃに愛したくなる。
これからもずっと、俺だけの咲玖でいて欲しい。

咲玖が泣くようなことは起きて欲しくないのに、なかせたいみたいなこのドロドロした葛藤は、どこにやればいいんだろう――。