「九竜くんのママ、若くない!?めっちゃ美人じゃん!」
「えへへ〜、そうなんだ〜」
何故か咲玖が嬉しそうにしている。
とりあえずテキトーに空いてる部屋にみんなを案内した。
じいちゃんは昔から色んな人と交流があり、昔からよく人が出入りするし、弟子たちを泊まらせたりとかもするので、部屋はものすごく余ってる。
「すごいな…こんなに本格的な日本家屋の家、初めてだ…!」
廊下を歩いている途中、意外にも住江が興奮していた。
「庭もすごい!後で写真撮らせてもらえないかな!?」
「いいよ」
教室での住江は、いつも一人で読書してて特に誰とも話そうとはしない。
球技大会では一緒に2Bに振り分けられたけど、種目が違うから話す機会がなく。
こんな風に笑ったりするんだな。
「ありがとう!」
「緋色くんって、和物が好きなの?」
咲玖が尋ねる。
「うん。うち、呉服屋なんだ」
「へー!」
「昔から着物とか和のものに触れてたから、こういう日本家屋もすごく好きで…」
「そうなんだね!」
「でも、着物ってなかなか売れないんだよね…」
「…住江の家って、もしかして呉服のすみえ?」
「そうだよ」
「ああ、じゃあうちの道場で使ってる道着発注してるところだ」