そこからの光景は、瞬きするのも惜しいくらいだった。
「キャーーーー!!ヤバい!!また決めた!!」
「さっきから九竜くん一人で何点目!?」
「九竜センパイカッコイイ〜〜!!」
「めっちゃ点差縮まってる!!」
「すごすぎない!?」
「イケメンすぎて無理…!!」
「いけーー!!蒼永くん!!」
「もっとやっちゃいなさい!!」
いつの間にかギャラリーが増えていて、みんなが蒼永に注目していた。
こんなの注目しない方が無理だよ。
ほんとに蒼永、すごすぎる。
カッコよすぎる…!!
「九竜くんマジでヤバすぎ!!ねぇ咲玖ちゃん!!」
翠夏ちゃんは興奮気味にピョンピョン飛び跳ねている。
でも、私は何も言えない。
胸がいっぱいすぎて、何も言えない。
20点も差がついていたのに、どんどん縮まる。
蒼永の動きが速すぎて誰も止められない。
触れることすらできない。
相手チームも負けじと粘って点を稼ぐ中、ついに同点まで追いついた。
「やったあ!!同点!!」
「でも時間ないよ…!!」
「あと1分…!!」
流石の蒼永も最初からフルスピード全開だから、ちょっと疲れが見える。
私は祈る気持ちで見守った。
「蒼永っ!頑張って…!!」
次の瞬間、蒼永と目が合って――笑った。



