そんな感じで色んな意味でドキドキしながら、蒼永の実家にやって来た。
「九竜道場」という立派な看板を掲げる日本家屋のお屋敷だ。
いつ見ても立派なお家だなぁ…。
廊下は長くてお庭は綺麗で広い。
プロの庭師さんが整備しているおじいさまの自慢の一つ。
改めて蒼永の実家ってすごすぎて、こんなお家のお嫁さんになれるのかな、私…。
道場の前を通ると、たくさんのお弟子さんが稽古に励んでおり、おじいさまの姿を見るとみんな礼儀正しく挨拶する。
「一緒にいるの…師範のお孫さんだよな…」
「お孫さん、相当の実力者らしい…」
「キャッ!超イケメン!」
お弟子さんたちの囁き声が聞こえてくる。
「一緒にいるお嬢さんは…?」
うわーーーー…やっぱり私、場違いすぎるよね…。
何このトロそうな子って思われてないかな…。
蒼永の許嫁のくせに運動神経ゼロですみません…。
「めちゃめちゃかわいくね?」
「バカやめろ!多分蒼永さんの婚約者だぞ!」
「……。やっぱり咲玖、うちに来る時におしゃれするのやめて」
「えっなんで!?」
「…見られたくないから」
…この格好だと気合い入れすぎてて変だったかな?
もう少しラフな服装でも良かったのかもな、とシュンとした。



