「お前たまに意識飛んでないか?」
「…大丈夫です」
「頼むぞ!今年は女子マネ狙いだからな!」


…いらないな。


「お前はいらなくても俺たちはいるんだよ!!」
「あ、よくわかりましたね」


ちなみに剣道部の後は急いで着替えて、空手部の方でも出ることになってる。
双方の部長に「お前は出ろ」と命令され、そうなった。


「俺喋るの苦手なんですけど」
「喋らなくていい。お前は黙って立ってろ」
「…はあ」
「一応デモンストレーションで一戦交えるけどな。
他は何もしなくていい」
「…じゃあ別に他の奴でも」
「お前の顔で女子マネを呼び込むんだぞ??」
「……。」


…正直全く気乗りしないな。
真面目に仕事するマネならまだしも、ミーハー心で入ってるくる奴はめんどくさいんだよね。


「九竜!!わかってると思うが、我が空手部にも女子マネを呼び込め!」


…ほんと、めんどくさいな。


「なんだ貴様、剣道部が先だぞ!」
「うるさい、九竜は空手部でもある。貴様こそ引っ込んでろ」
「何ィ!?」


剣道部の部長と空手部の部長は幼馴染で昔からのライバルらしく、顔を突き合わすとよく喧嘩してる。
こうなると長い。

…とっとと終わって早く帰りたい。


「――蒼永!」


そこへ、咲玖が駆け寄ってきた。
一瞬にして元気になった。


「咲玖、どうしたの?」
「生徒会のお手伝いなの!」


そういえばそんなこと言ってたな。


「蒼永、終わったら時間ある?」
「一応ちょっと練習してから帰るけど」
「…一緒に帰れる?」


…かわいいな。


「うん、待ってて」
「よかった!あの実は…紹介したい子がいて…その子と一緒でもいいかな?」