そう叫んだのは、お手洗いから戻ってきた結愛ちゃん。
大きな目をまん丸にして、おじいさんを凝視している。
「おお、結愛も来ておったか」
「お、おじいさまがどうしてここに!?」
……あれ、もしかしてこの方、結愛ちゃんのおじいさん?
「こっそり来ておったんだが、ついにバレてしまったな。まあ、良い。
結愛、最近九竜家によく出入りしているようじゃないか」
「そ、それは…」
急に結愛ちゃんがしどろもどろになる。
「あの家は今忙しい時なんじゃ。邪魔をするでない」
「邪魔なんて!結愛、少しでもお役に立ちたいだけです!」
「家内に変な入れ知恵をされたんじゃろうが、もういい。お前はもうあの家には行くな」
「でも結愛、蒼永くんの…」
「蒼永くんの許嫁は、こちらのお嬢さんじゃろう?」
え、あれ?私そんなこと言ったっけ??
話が見えず、ポカンとしながらおじいさんと結愛ちゃんを交互に見つめる。
「すまんな、お嬢さん。実はこの間のお礼がしたくて、少し調べさせてもらった。
わしの妻と孫娘がご迷惑をおかけしているようで、大変申し訳ない」
「え?どういう…?」
「もう余計な手出しはしないように、わしからキツく言っておこう。ご家族にも改めて詫びを入れるので、安心してくれないか」



