ちなみに忘れ物というのは、夏休みの宿題だった。流石にヤバいと思って取りに来たらしい。
「おじいさま、もうすぐ手術だよね?
パパがおじいさまの好きなお稲荷さん作ったから、ついでに持って行ってって。
おじいさま、今どこに…」
「蒼永くーーん!」
……最悪のタイミングとはこのことだ。
咲玖に話す前に会わせたくなかったのに。
「……あれ、この前お会いしましたよね?」
「あっ!どうして!?すごく偶然です〜」
――えっ、知り合い……?
「咲玖、結愛のこと知ってるの?」
「この前ネズミーランド行った時に会って…蒼永の知り合いだったの?」
「…はとこ」
「はとこ!?親戚だったんだ!」
まさか、結愛も同じ日に来てた上に咲玖と会っていたとは……。
まさかと思うけど、偶然なんだよね?
チラリと結愛を見たら、ただニコッと返された。
「虹ヶ崎結愛っていいます〜。もしかして、蒼永くんの許嫁さん?」
「あっはい!白凪咲玖です。
びっくりした〜。てことは、蒼永と誕生日同じなんですね!」
「そうなんです〜。結愛は一個下なんですけど〜」
「あ、そうなんですか」
咲玖は俺の親戚だからなのか、結愛に対して友好的だし年下とわかっても敬語だった。



