たくさんの洗濯物を持ってパタパタとやって来た咲玖。


「それ、大丈夫?」

「平気だよ〜。意外と軽いんだよ」


咲玖は、夏休みに入ってからうちに来ている。
こうして家事や道場の仕事を手伝ってくれているんだ。

じいちゃんがギックリ腰になった時、父さんはお手伝いさんを雇うことを提案したけど、じいちゃんは首を縦に振らなかった。

道場の方には運営や事務を行うスタッフやじいちゃんには秘書もついてるんだけど、家の中に家族(と白凪家)以外を入れることは断固反対で。

だけど、今のままじゃ手が回らないって父さんが反論したら、舞子さんがこんな提案をした。


「じゃあ夏休み中だけでも咲玖を預けましょうか?」


急な話に咲玖本人もポカンとしていた。


「花嫁修行だと思えばいいんじゃない?」
「えっ」
「蒼永くんと一緒の方が咲玖も嬉しいでしょ?
そもそもあんた、夏休み暇じゃない」
「暇じゃないよ!?…部活とかはないけど」


それを聞いてじいちゃんも大喜びだった。


「何、それは有難い!咲玖さんなら大歓迎だ!
むしろそのまま入籍してくれてもいいんだが」

「ダメですよ、お義父さん。二人とも今年で17歳なんですから」

「ははは、そうだったな」