クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ



一緒に住んでるのに、学校でも一緒にいたいと思うのは贅沢かな…。
仕方ないけど、同じクラスなら行事も一緒に過ごせるのにって思っちゃうんだ。


「一緒に帰れる…?」
「うん、待ってる」

「大志、そこのバカップル置いて行きましょ」
「えー…」

「待って!!二人は隣のクラスじゃん!!途中まで行こうよ!!」


置いていくなんて酷い!!
ただでさえ心細いのに!!


「冗談よ。ほら行くわよ」
「じゃあまた後でね、蒼永くん」
「……特待生やめたい」
「バカなこと言ってないで早く自分のクラス行きなさい!」


桃ちゃんに説教され、仕方なく自分のクラスに向かう蒼永。
そんな蒼永に周囲の女子たちが色めき立った視線を向けている。

彼女がいることは多分みんな知ってると思うけど、それでも蒼永はモテるんだよね…。


「はあ…」
「元気出して、さっちゃん」
「隣のクラスなら体育はカブるでしょ」
「そうだけど…」
「ほら、頑張って!遊びに行くから」
「またね」


ううっ、桃ちゃんも大志くんも行ってしまった…。

B組の教室の前で溜息をつく。
これでも自分では人見知りだと思ってるから、不安しかないなぁ…。

頑張れ咲玖!勇気出せ!
自分を鼓舞し、深呼吸して新しい教室に足を踏み入れる。