* * *
「蒼永!」
その日の放課後、部活終わりの蒼永を待っていた。
蒼永の姿が見えて嬉しくなって声かけちゃったけど、よく見たら他の人もいる……!
部員の皆さんかな?
ちょっと恥ずかしいな……。
「白凪ちゃん、やっほ〜」
「あ、蘇芳くん」
彼は同じクラスで剣道部の蘇芳くん。
そこまでちゃんと話したことはない。
「じゃ、俺たち先帰るから〜」
「じゃあな蒼永、白凪ちゃん」
「お疲れ」
「バイバイ!」
蒼永が部活仲間といるの初めて見たかもしれない。
よかった、ちゃんと仲良くしてるみたいだ。
でも、たまには友達と一緒に帰った方がいいんじゃないかな。いいのかな。
「咲玖、帰ろっか」
「うん!」
手を繋がれただけで嬉しくなっちゃう、簡単な私なんですけど。
「今日いいことあったの?」
「そうなの!あのね!」
私は翠夏ちゃんとちゃんと和解したこと、緋色くんからも丁寧かつ長文の謝罪メッセージをもらったことを話した。
「二人と気まずくならずにこれからも話せそう!」
「よかったね」
蒼永に微笑まれて、キュンとすると同時にあったかい気持ちになる。
「じゃあ、この前の記念日のやり直しする?」
「えっ?それはしたよね…?
ネズミーランドは落ち着いてからだし…」
「あの程度じゃ足りないんだけど」
「えっ。」
「もうちょっと進みたいし」
「!?」
悪戯っぽい笑みが妙に色気を孕んでいてドキッとすると同時に、何をされるんだろうという緊張が一気に押し寄せました――…



