突然押し倒され、ドキドキ以前に何が起きているのか頭がついていけてない。
「咲玖がかわいいから、みんな見るんだよ」
そうなの…!?
「俺のものなんだから、誰にも見られたくないのに」
「…っ」
蒼永に独占欲で溢れた眼差しを向けられると、胸の奥がぎゅうっとなって、どうしていいかわからなくなる。
「…見てないよ。蒼永のことしか、見てない」
正確には、他の誰も目に入らない。
あり得ないくらい、蒼永のことしか見えないの。
何気ない言葉の一つ、視線さえも私の心を奪って離さない。
「咲玖…」
頬に蒼永の触れ、顔が近づき――私も瞼を閉じる。
「――咲玖ちゃーん!お母さんたち見えたわよ〜!!」
!?!?
「あら、咲玖ちゃん?」
「は、はーーい!!」
永美里さんの声で現実に引き戻され、慌てて離れて私はベッドから飛び起きる。
「あ、蒼永の部屋にいたのね」
「は、はい…」
「夕飯できたから二人ともいらっしゃい」
「い、今いきま〜す…」
……やばい、ここ蒼永の実家だった。
思いっきり家族がいるんだった――…!!
もう恥ずかしさで顔から火が出そう…!!



