クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ



突然押し倒され、ドキドキ以前に何が起きているのか頭がついていけてない。


「咲玖がかわいいから、みんな見るんだよ」


そうなの…!?


「俺のものなんだから、誰にも見られたくないのに」

「…っ」


蒼永に独占欲で溢れた眼差しを向けられると、胸の奥がぎゅうっとなって、どうしていいかわからなくなる。


「…見てないよ。蒼永のことしか、見てない」


正確には、他の誰も目に入らない。

あり得ないくらい、蒼永のことしか見えないの。
何気ない言葉の一つ、視線さえも私の心を奪って離さない。


「咲玖…」


頬に蒼永の触れ、顔が近づき――私も瞼を閉じる。




「――咲玖ちゃーん!お母さんたち見えたわよ〜!!」


!?!?


「あら、咲玖ちゃん?」

「は、はーーい!!」


永美里さんの声で現実に引き戻され、慌てて離れて私はベッドから飛び起きる。


「あ、蒼永の部屋にいたのね」

「は、はい…」

「夕飯できたから二人ともいらっしゃい」

「い、今いきま〜す…」



……やばい、ここ蒼永の実家だった。
思いっきり家族がいるんだった――…!!

もう恥ずかしさで顔から火が出そう…!!