クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ



「ありがとう」

「ううん!翠夏ちゃんが無事でよかった!」


そう言ってにっこり微笑む咲玖ちゃん。

もしかして、あたしのこと探してくれてたのかな――……


「…咲玖ちゃん、1時間目サボらない?」

「え?」

「ちょっと話そ?」

「うん…!私も翠夏ちゃんと話したかったの」



* * *


あたしたちは屋上にやって来た。
変に気を遣わせたり心配させたくなかったし、呼び出された理由は最初に話した。


「妬まれることはしょっちゅうだけど、責任転嫁されたのは初めてだったよ〜。
他人の色恋沙汰に巻き込むなって感じよね」

「ひどいね。翠夏ちゃんはそんな子じゃないのに。
一途ですごく不器用で、すごくかわいい子なのに」

「……。」

「…ごめんね、あの時のことちゃんと説明させて欲しい」


咲玖ちゃんはあの日のことを事細かに説明してくれた。

それを聞いて、やっぱり緋色はそうなんだ、と思った。


「…なんで咲玖ちゃんが謝るの?咲玖ちゃんは悪くないじゃん」

「でも、私…緋色くんとも仲良くなりたいなって思ってたの。
翠夏ちゃんが好きになる人だし、緋色くん真面目でいい人だから、私も友達として仲良くしたいと思ってた。

…でも、考え方が甘かったのかなって」