クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ



薄々気づいてたこととはいえ、実際目の当たりにするとかなりキツかった。
思わず逃げちゃった。

CDプレーヤー借りに行った緋色の帰りが遅いから、何してんだろと思って呼びに行ったら――なんて間が悪いんだろう。


緋色もばかだよね。
なんで咲玖ちゃんなの?

絶対無理ってわかってるじゃん。
好きになったらダメな子だって、頭の良い緋色ならわかってたはずでしょ?

でも、わかってても止められないのもわかる。
頭で考えてどうにかできたら、あたしは緋色を好きになってないもん。

そういうのじゃないんだよね。
気づいたら心のど真ん中にいるんだよね。


あたしは鬱々とした気持ちで登校した。

あーあ、咲玖ちゃんに顔合わせにくいなぁ……。



「――あんた、華村翠夏だよね」


こんな鬱な気分の時に、なんて最悪なタイミングなんだろう。


「ちょっとあんたに話があるんだけど。
顔貸してくれない?」

「……。」


ほんっと最悪……。