「今は見守ってる。咲玖が自分でどうにかするって決めたなら、信じて待ってる」

「うん、それがいいと思うよ」


複雑な気持ちは一旦押し込めよう。

どうせ俺には咲玖しかいないし、誰かに譲る気も手離す気もない。

咲玖がどれだけ俺のことを想ってくれているのかもわかったんだから、咲玖のこと信じていればいいだけなんだ。

咲玖に笑顔が戻ったら、この前の続きを教えようか。


「P.S.
私のどんなところが好きなのか、恥ずかしいけどいつか聞いてみたいです。」


手紙にそんなこと書くのに、いざ聞くとなると恥ずかしがるかわいい許嫁。
あの顔を独り占めできるのは俺だけだから、まあいいかな。

――咲玖、早く戻って来て。

抱きしめてこの前の続きを囁いたら、どんな顔をするのか。
想像するだけで楽しかった。

俺をここまで悩ませたり狂わせたりするのは、咲玖だけだから。
責任持って一生傍にいてね。


ちなみに、咲玖からの手紙がなんて書いてあったのかは誰にも教えない。
家族にも言いたくない。

これは俺だけのものだから。