クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ



「住江くんがさっちゃんと付き合いたいって思ってたらどうするの?」

「思ってようが、俺の許嫁だし」

「でもさ、今までの蒼永くんならさっちゃんに下心ある男子のこと、片っ端から牽制してたじゃない」

「そうだけど…」

「住江くんは違うの?」

「……咲玖が友達でいたいと思ってるから」


それこそ今までだったら、咲玖に下心抱いてる時点でアウトだった。
ちょっとでも嫌だ。
多分今も変わってない。

だけど、住江の場合は…少なくとも咲玖があいつに対して好意的だから。


「本音は仲良くして欲しくない。基本男女の友情なんて有り得ないと思ってるし。
でも、それは俺の希望で咲玖は違うと思うし…」

「蒼永くんって、独占欲強いけど意外とさっちゃんの気持ち尊重するよね」

「だって嫌われたくないから…」

「えっ蒼永くんでもそんなこと思うの!?」

「……悪い?」

「いや意外すぎて!」


別に咲玖の気持ちを疑うとかではないけど、ちょっとでも咲玖が嫌だと思うことはしたくないだけ。


「あと、何となく住江のこと嫌いになれないっていうのもある」

「そっか」

「だからこそ複雑なんだけど……」


いっそ住江がすごく嫌な奴ならよかったのに。

絶対に咲玖に近づけたくないような悪い奴だったら、こんな気持ちにはならなかったのだろう。