「それ」とは、おそらく机の上に置かれていた「耳栓」のことだろう。 先生はなおも書類整理をしながら、 「ふーん、聞こえてるんだ」 と興味なさげに言う。 「聞こえてるんだったら、それしなくていいんじゃない?」 当事者の私じゃなくても感じる、拒絶に似た、突き放す言い方だった。 「...でも、悪口を聞きたくない、ので......」 口ごもりながら女の子がそういうのが聞こえた。