そこにはもう葛生君の姿はなかった。 何が不満だったのかわからないが、同じクラスで隣の席の葛生君に嫌われたようだ。 駅から家までの帰り道、歩きながら葛生君との会話を思い出してみたけれど、 やっぱりどうして葛生君があんなことを言い出したのか、さっぱりわからなかった。 「偽善者」「嫌いだ」 それらの言葉がはっきりと耳に残っている。 憎らしいものを見るような目つきで私を見ていた。 ...やっぱり、わからない。