葛生君は私を睨みつけたまま、何も言わない。 何がそんなに彼をいら立たせているのか、私にはわからなかった。 「あんたみたいな偽善者、大嫌いだ」 葛生君は捨て台詞みたいにそう言い残して、丁度開いた扉から電車を降りて行ってしまった。 ハッとして、駅名を確認すると最寄り駅の名前が車内の表示機に映し出されていた。 慌てて鞄を持ち上げ、電車から降りる。