くるくるキャンディー


撮影当日、朝からの撮影だった。本来なら夕方にしたいけどカット数が多いので昼間も撮ることにした。モノトーンにすることもあり、一郎君が後処理で光は変えてくれるという。
運よく曇りだった。変な光が入らなくていい。
アリスとLOUISは1パターン目の洋服に着替えた。



【シーン1】
彼氏と彼女は向き合って立っている。彼氏は彼女の顔を上から覗き込んでする。彼女は上を向いて彼氏を見ていたが、恥ずかしそうに下を向いた・・・彼は自分のマフラーを彼女に巻く・・・


カメラマンの一郎は二人に指示を出した。

「このシーンでもいっぱいカット撮るからね。先ずは、流れで動いてみて・・・」

一連の動きを何度か練習をした。
一郎は動画で撮影した。今のデジカメは便利だ。
動画を見直して、カットを決めた。そこの部分で止めてスチール写真としても撮った。

「アリス、もう少しアゴ上げて。LOUISもう少し猫背に。優しい眼差しで・・・目を合わせて・・・」

一郎はこと細かく指示を出した。

・・・段々と雰囲気が出てきたけど・・・
・・・うえーん、緊張する・・・ちょっと怖い・・・あー・・・


このシーンを取り終えて、LOUISとその写真を見た。キュンとくる写真だった。映画のワンシーンみたいだった。

・・・どうしよう・・・何この感覚・・・私・・・



【シーン2】
公園で夜景を見ている二人。少し寒そうにしている彼女を彼は自分の来ているコートですっぽりと覆う・・・

今度は斜め後ろからと斜め前からの撮影だ。良い撮影位置を決めるのに時間がかかった。
同じように、練習をした。
LOUISが自分のコートの前を開けて私を包むとき、LOUISの香りがした。

・・・ヤバイ・・・LOUISの香り・・・クラクラする・・・
・・・これって・・・恋・・・なの・・・

一郎はそんなアリスの表情を見逃さなかった。

「LOUIS、そのままアリスを抱きしめて。そして顔を少し前に回すような感じ、そう頬にキスする感じで・・・」

LOUISの髪がアリスの頬に触れた。吐息も・・・

・・・ヤバいって・・・ヤバイ・・・心臓・・・飛び出しそう・・・



【シーン3】
公園のベンチ。彼女が座っている後ろから、彼が彼女の顔を上に向けキスをする・・・
公園で待ち合わせをしている。遅れて来た彼が後ろから彼女を呼んで、振り向こうとした彼女の顔を触りキスをするというシーンだ。
自分で考えたシーンだったが、めちゃくちゃ恥ずかしかった。

・・・なんでこんなシーン考えちゃったんだろう。私もうもたないよ・・・


何度もこのシーンを練習したが、ぎごちなかった。
一郎は、二人に告げた。

「ちょっと二人で練習してて・・・レンズ替えるから・・・」

一郎はわざと後ろを向いて作業をした。
でもこの練習の時も2人には内緒で動画を取り続けていた。
何度も練習をしていく中で、LOUISは突然私の唇にキスをした。時が止まったようだった。
一郎は微笑んだ。

・・・えー、今何した?・・・ 本当にキスした????・・・キス・・・された????????


「アリス、OKだよ。撮影終了。」

一郎の声に我に返ったが、動揺を隠すように言った。

「LOUISお疲れさまでした。全部終了です。」

そう告げた。それが精いっぱいだった。
もうLOUISの顔が見られなかった。

・・・はやく帰ろ・・・帰らなきゃ・・・