「わたし、タイムスリップしましたね、マジで」





「たいむすりっぷって・・・さっきもかえでちゃん、言ってたよね?ぼく達にも分かるように説明してよ」

沖田総司さんの言葉にわたしはできるだけわかるように、言葉を選びながら話す。

「えっとつまり、あなた達よりもずっと未来・・・正確には百五十五年後から来たの」

恐る恐る二人の顔をみてみる。

その瞬間、わたしは思わず吹き出してしまった。

(ぷっ!ちょ、か、顔・・・!)

二人はポカーンと口を開けて呆然としていた。その顔が思いの外そっくりでおかしくなってしまったのだ。

しばらくしてやっと笑いがおさまった。二人も処理落ちし終わって小声で「嘘だろ・・・」とか呟いてる。

「ねぇ、まさかだけどこんな大口叩いて証拠がないとか・・・ないよね?」

沖田総司さんの笑顔に応えるようにわたしはスカートのポケットに手を伸ばす。

(ふふん、そういうと思って二人が処理落ちしてる間に考えてたもん!)

わたしが沖田総司さんに見せたのは一口サイズのバームクーヘン。

「これ、未来のスウィーツ・・・甘味でバームクーヘンっていいます。どうぞ」

包装紙を開けながら軽い説明をする。

「あ、毒は入ってませんよ。疑うなら・・・」

ポケットからもう一個同じのを出して両手に乗せる。

「どっちか好きな方選んでください」

「え、じゃあ・・・こっちで」

最初に出した方を指差したからそっちを渡す。

(せっかくだし食べちゃお)

もう一個はその場でわたしが食べる。

沖田総司さんはそれをみて恐る恐る口に含む。その瞬間、カッと目を見開いて、次気づいた時にはわたしに思い切り詰め寄っていた。