どうやら今、沖田総司さん達が泊っている八木邸についたらしい。
「はい、ここで草履ぬいで・・・ってそれ、なに?」
わたしの靴を指しながら首をかしげる。
「あ、草履みたいなものです。気にしないでください」
スニーカーを脱ぎながらそう返す。沖田総司さんはそれで納得したのか、先に行ってしまう。わたしは小走りで追いかける。
「あ、ここです。ここで聞くんで」
沖田総司さんはスッと襖に手をかけるとスパーン、と勢いよく開けた。
「ひっじかったさーん!」
「るっさい!」
(いや、あなたの方が五月蠅いですよ。ってか、今沖田総司さん、土方って言わなかった?ってことは・・・)
わたしは恐る恐るこの部屋の中心にいる男性に目を向ける。
整った鼻立ち。少し細い目。髪はわたしの見た写真よりもよっぽど長い。
でも、でも。この人・・・
「ひ、土方歳三義豊・・・」
わたしの呟きが聞こえたのか、二人の視線がいっきにわたしに注がれる。
「オイ、こいつ、なんで俺の諱知ってるんだよ」
「・・・あ」
(待ってなにこのデジャブ感)
後悔してももう遅い。気づいた時にはわたしの首元に刀が向けられていた。
「どこで知った?答えろ」
(ちょ、助けて)
思わず視線を沖田総司さんに向ける。当の本人は笑顔でわたし達の方を見ていた。
(お、終わった・・・)
「わ、分かりました!話しますから・・・あ、でもその前に質問を一つ」
手を挙げて言い切る。土方歳三さんはわたしを見たまま少し眉を上げる。
特に何も言わないという事はいいって事だろう。
「この刀・・・小島鹿之助からもらったの?」
確か土方歳三さんが今持ってる刀はその人からもらったものだった。
わたしの質問に土方歳三さんは目を見開く。
「なぜ、それを・・・?」
「そういうってことはあたり、ですね。ありがとうございます。スッキリしました。それじゃあ、話しますね」
二人の顔を見ながらわたしは言い切る。