「えっと、結論からいうと、わたしは人間ではありません。わたしは、人狼と、ヴァンパイアの娘なんです」

「じんろう?ゔぁんぱいあ?」

佐之さんの何それ?美味しいの?みたいな声に苦笑して話をつづける。

「えっと、人狼は漢字で書くと人に狼って書くんです・・・これで察しのいい人はわかると思うんですけど、わたしは今は人間の姿をしてるんですけど満月になると狼になって血肉を求めて彷徨うんです」

「・・・っ」

思っていたよりも残酷な話だったみたいでみんなが息を呑んだのか聞こえる。

「ほかにも、嗅覚とか、聴覚が人よりもよかったり、腕とかを獣化させれたり、みたいな感じです。ヴァンパイアは日本語だと、吸血鬼、かな?血を吸う鬼、で吸血鬼」

「血を吸う、鬼・・・」

源さんの言葉に頷いて話を続ける。

「普通なら一週間に一度、ちょこっと飲めば大丈夫ですよ。いつでも所かまわず血を飲むってわけじゃないです」

「?だが、悠と戦った時は急に血を飲みたい、と・・・」

「あ、一さん、そこ突っ込みます?まぁ、いいですけど。あの時は色々あって貧血みたいな感じだったんです。で、その時に血をみちゃったので本能が目覚めちゃって・・・」

「あ、もしかしてそれってかえでちゃんが急に刀を持ってたことに関係します?」

総司さんの閃いた!という声に正解、です。とハラっと笑う。

「普段つけてるイヤリン・・・耳飾りあったじゃないですか。あれに血みたいなのを注ぐと刀になる仕組みで・・・」

「へぇ‼︎すごいな!後で見せてくれよ!」

「え、ぅん、いいけど・・・」

「なんだよ?なにか悪いことでもあんのか?」

平助くんの不思議そうな声にわたしはふるふると首をふる。

「違う!みんな、怖い、って思わないの⁉︎わたし、人じゃないんだよ!もしかしたらみんなを襲っちゃうかもしれないのに!」

「・・・でも、かえでちゃんは、かえでちゃんでしょう?」

「・・・え?」

総司さんの言葉にびっくりして顔を上げる。

「何に怯えているのかはわからないんですけど,今、かえでちゃんはぼくたちのことを思って泣いてくれているんでしょう?それのどこが人間じゃないんですか?」

「・・・っ!」

「そうだ!もし他の人がかえでのことを人じゃないっていってもオレたちはかえでのことを人だっておもうぜ」

「平助、くん・・・」

「そうだ。俺たちはかえでのことを怖い、なんておもわねぇぞ?」

「ひ、じかたさん・・・」

「かえで。私たちは君が本当に人間じゃなかったとしても、失望しないし、見捨てない。こう言っても、信じてくれないか?」

「近藤さん、みんな・・・」

視界がぼやけるのがわかった。さっきまで心いっぱいに広がっていた『みんなに見捨てられる』に対する怯えがスッと消えていくのが感じる。

みんなを見ると、近藤さんも、土方さんも、山南さんも、新八ちゃんも、一さんも、源さんも、左之さんも、平助くんも、そして総司さんもわたしに対する怯えの色は顔に一切なく、笑顔でわたしを見つめている。それをみた瞬間、耐えきれなかった涙がポロポロと頬を伝う。

「わたし、ここにいて、いいです、か?」

「もちろん!」

即答してくれた総司さんにみんながうなずく。

「っ、ありがとう、ございます・・・!」

わたしが泣いている間、みんなは優しく見守ってくれた。