そして残りの近藤さん、土方さん、一さん、左之さん、平助くんは、目を見開いて呆然としていた。

(こっちも驚いているんだろうね・・・)

「え?誰・・・?」

平助くんが無意識に呟いているのに答える。

「えぇ~?平助くん、分からないのぉ~?」

わたしの声に反応したのは左之さん。

「おい、まさか、かえでか?」

「せいか~い‼」

丸サインを手で作りながら答えると総司さん、新八ちゃんを除いた全員の顔がさっき以上に驚きに満ちる。

「おい、本当にかえでか?」

失礼な事を言う土方さん。

「・・・別人だな・・・」

それしか言えないように静かに呟いたのは一さん。

「え?髪が黒い・・・え?」

まだ混乱しているのは平助くん。

「すごいですね。女子じゃだめだって言ったら男装するなんて・・・」

感心したように総司さんが言う。ちなみにその隣では新八ちゃんも頷いている。

「ふふん、すごいでしょ!これで外に行っていいですよね?」

「は⁉これ提案したのは総司か⁉」

唾を飛ばすような勢いで土方さんが怒鳴る。

「え~違いますよぉ。ぼくが今日松平様の所に行くって言ったら・・・」

「やっぱり元凶はお前じゃねぇか!ってかかえでも行くつもりなのか⁉」

「え?そうですけど・・・?」

当たり前のことを聞かないで欲しい。

(そのために男装までしたんだもん!)

しかし、みんなはそんな事想定していなかったらしい。

「ちょ、かえでも行くのか?本気か?」

「私は反対です!ここにいるのとは訳が違います!」

普段優しい山南さんも感情を抑えずに叫ぶ。

「そうですけど・・・」

これだけは譲れない。そんな空気をまとっているのを感じたのか、一さんが溜息をつく。

「行きたいのは分かったが・・・日光は大丈夫なのか?」

「え?あぁ、日焼け止めクリーム塗ってるんで大丈夫ですよ。それに、みんなが思っているほどわたし、弱くないですよぉ~」

わたしが言うと溜息をついてから一さんが口を開く。

「なら、いいんじゃないか?」

「分かってますよ危険なのは・・・って、え?」

まさかのオッケーだ。思わず一さんの方を向く。

「自分の身は自分で守る。他の隊士たちと接触しない。これが条件だ。どうだ?」

真顔で一さんが言う。

「は、はい!守ります!」

まさか一さんが賛成してくれるとは思っていなかった。

「近藤さん、これでどうでしょう?」

「まぁ、斎藤君がそこまで言うなら・・・」

(やった!一さん、ありがとう!)

目でお礼を言うと彼はフッと口角をあげて答えてくれた。