わたしが電話に向かって呼びかけると少しの沈黙の後、一さんの声が聞こえる。

「えっと・・・かえで?これ、聞こえているのか?」

その質問に答えたのはなぜか総司さん。

「聞こえてますよ~!ってかこれ凄いですね!こんな遠くに離れてても会話できるんですね」

(総司さんの適応力すごっ!)

対する会話の向こう側はまだ整理しきれてないのか、「嘘・・・」とか「なんで・・・」という声が聞こえる。

わたしは一回総司さんからスマホを取り返すと口を開く。

「こんな感じにほかの人と会話することが出来るのが電話です。他にも手紙を遅れたり、専門家の知識を調べられたりできるんですよ」

「・・・未来ではこんなことを・・・慣れてたら今の生活が不便に感じますね・・・」

山南さんの呆然としたような声に平助くんもうなずく。

「なんでもできるんだな!」

(まぁ、いろいろ制約があったりして使いにくいのもあるけど・・・)

とりあえず電話をきって自分の部屋に戻る。

「戻りました~」

「あ、かえでさん、遅かったですね」

源さんの言葉に頷いてしまう。

「だって総司さんが・・・」

なんと総司さん、台所に行った時にお菓子を見つけてからそこで食べ終わるまで動かなったのだ!

「山南さん、質問なんですけど、総司さんってお菓子につられて誘拐とかされなかったんですか?」

こそこそと聞くと真面目に考えてくれる山南さんは本当にいい人だ。

「どうでしょう・・・でも確か総司さんが試衛館に入ってすぐに一回つられたと聞いたことが・・・あと、私が入った後も二、三回誘拐あったような・・・」

(マジですか・・・)

総司さん、よくここまで生きていたと思ってしまう。

「なぁ、これなんだ?」

急に平助くんに聞かれてわたしは慌ててそちらに視線を向ける。

「あ、それは・・・」

平助くんが指さしていたのはじぃちゃんの便利道具。

(どう説明しよう・・・さすがに妖怪が作った道具とは言えないし・・・)

どう説明しようかと考えていてふと気づく。

(あ、でもみんな未来の道具なんて知らないしこれも未来の道具って説明すればいいんじゃ・・・」