わたしが困っていることに気づいたのか、総司さんがわたしの前に立って手を叩く。
「かえでちゃんが困っています。取り合えず自己紹介しましょ」
(あ、助かる!ありがとう総司さん!!)
最初に口を開いたのは最初に顔を出した男性だ。
「誰も言わないから俺からな。俺は原田左之助。左之って呼んでくれ。じゃ、次平助」
「え?オレ?まぁ、いいけど・・・オレは藤堂平助。歳が近そうだから普通に平助って呼んでくれ!よろしくな!」
この二人を皮切りにどんどん自己紹介が進んでいく。
次は学者のような人。
「私は山南敬助と言います。好きなようによんでかまいませんよ。よろしくお願いします」
「・・・斎藤一。よろしく」
無口そうな人。
「私は、井上源三郎です。気軽に源さん、と呼んでくださいね」
お母さんっぽい人。
「俺は永倉新八!新八ちゃんって呼んでくれ!よろしくな!」
なんか馬鹿っぽい人。
「私は近藤勇だ。よろしくな」
(あ、やっぱり近藤さんだったんだ)
新選組メンバー全員の自己紹介が終わった。
(次は雰囲気的にわたし・・・かな?)
「わたしは本宮かえでと言います。えっと・・・今の三河出身です。ついさっき総司さんに拾われました。よろしくお願いします」
ぺこり、とその場でお辞儀する。その自己紹介に驚いたのは土方さん。
「おい、一番大切な情報忘れただろ」
「え?なんですか?あ!さっきの句はひ・・・」
「それじゃない!」
「じゃあ、なんですか⁉」
「あの・・・」
土方さんとの会話の腰を折ったのは意外にも山南さん。
「あの、かえでさん・・・あなた、何処から、いえ、いつから来たんですか?」
その言葉にわたし、総司さん、土方さんの周りの空気が凍った。
「え・・・?なんでわたしが・・・?」
わたしの呟きに山南さんが申し訳なさそうに目尻をさげる。
「えっと・・・さっき、自己紹介のとき、今の三河、と言ったじゃないですか。つまり、あなたがいた所は三河を三河と言わない、という事じゃないかな、と」